ガレン[1957→2002]『ルネサンスの教育』近藤恒一訳、知泉書館

 この、〔サルターティによる〕産声をあげたばかりのヒューマニズムに頑強に反対したのは、ジョヴァンニ・ドミーニチ〔1356-1419〕であった。サヴォナローラとおなじくドミニコ会士で、ローマ教会の枢機卿でもあったドミーニチは、古典古代の理想に立ち返ってふたたび〔異教の〕詩人たちの作品を読むということを弾劾したばかりか、人間的な“自由な教育”はいかなる形のものであれすべてこれを弾劾していた。‥‥
 「ひげがはえてきたからとて・・・・・・一人前の口をきこうなどと思いあがってはいけない。・・・・・・沈黙は神聖である。・・・・・・謙虚さは黙して語らず。・・・・・・聞くことこそ弟子の務めというものである」。
 子どもたち、そして一般に青少年にたいしては、打擲を加えるべきであり、しかもしばしばそうすべきである。
 「ひんぱんに殴ることは、かれらのためになる。・・・・・・なぜなら、悪の道に走りやすい年ごろには強い制御が必要だからである。・・・・・・これはなにも三歳まで、せいぜい四歳か五歳までにとどめるべきではなく、二十五歳の青年であろうと、必要なかぎりは殴りつけるべきである」。
 両親は打擲を、それが正当であれ不当であれ、「思いのまま子どもたちに加えてよい」。なぜなら、「かれらが殴られたのは正当か不当か、そのいずれかである。第一の場合には、かれらは正義に感謝すべきだし、第二の場合には、忍耐することで報いられる。それゆえ、いついかなる場合にも、ぶったり殴ったりすることは、かれらにとって有益である(13)」(p.78)