さて、週刊誌と雑誌の図書館、大宅文庫では、「不倫」は、[おんな]項目の「浮気、姦通一般」として、データ化されているが、このデータを調べた結果、この種のテーマが突然、女性誌に増加したのは、1988年、と判明した。
 女性誌に多い「不倫告白」ものも含めて、前年の87年に1件だったこの種のテーマ記事(事件、芸能関係を除く)がこの年に突如15件に。それが、年々増え続けて、90年代に入ると20件、30件・・・・・・、とどんどん増えている。
 しかも、最近は、大宅文庫に収集されていないさまざまな育児雑誌、ファッション雑誌にも「不倫」の記事が登場。
 さらに「不倫」が死語となってこのまま「恋愛」という名のもとに一般化されていけば、データ化もできなくなるわけで、女性誌上での「不倫」記事は今後、夥しい量になりそうな気配である。(pp.53-4)

 妻たち、とくに専業主婦層が、「不倫」に向けて解放されたのは、83年から85年にかけて放送されたテレビドラマ「金曜日の妻たち」がきっかけと言われている。‥‥
 それが、多くの人たちの意識にじわじわ浸透し、大衆化されるのに2、3年。‥‥
 女性誌の『SOPHIA』が、この年、86年の10月号で特集を組んでいる。
 「夫を棄てる妻」
 夫を捨てた場合は、「不倫」は「恋愛」に昇格する。(p.56)