調査実施者、政治学者、社会学者の間で行われている技術的な議論は久しく、設問の用語とか、すべての者にとって「偏りのない」「わかりやすい」設問の書き方といったかなり二義的な問題に焦点をあてていた。もちろん、回答の解釈をより容易にするために、設問がすべての被調査者に同じように理解されるように設問がつくられることは望ましい。けれども、要するに正当ではあれ、こうした方法論的固定観念の背後には、しばしば一つの社会科学の(政治的でもある)考え方が隠されている。それは、調査者の行う質問への回答を夾雑物なしに獲得するには、被調査者に「よい」質問を行えればよい、というものである。「よい」質問、それは一定の結果を伴う意味のスライドによって、ここでは「中立的」な設問と呼ばれるものになっている。すなわち、その書き方が回答者にほとんど影響を与えないような設問であり、その場合に得られた回答は「真面目」で、「本物」の、「真実を伝える」ものであるとされる。‥‥(pp.119-20)