• チャールズ・シンガー[1959→1999]
  • 第2部 近代生物学の史的基盤
    • Ⅷ.進化
      • 1.ビュフォン(1707-88)とエラズマス・ダーウィン(1731-1802)

 アリストテレス、ボーアン、ユンクなどの種の概念はすでに一瞥してきた。昔の学者のほとんどは、聖書に書かれたことに従って、種はすべて一どきに創造されたとしてきた。リンネは「造物主の両の手から番いでつくり出されただけの数の種」がこの世にあるとした。彼の後になると、ある種を別の種からはっきり区別するのが困難な場合もあることを認めたが、最初の立場に未練を残して、「ある属のうちのすべての種は、最初には単一の種をつくっていた」と結論して、そもそもの創造は、本当は、種ではなくて属であったのだと意見を改めた。新種は、種間雑種から生まれるものであると彼は考えた。種が固定的なものではないという考えをはっきりと打ち出した、近代になって最初のナチュラリストはビュフォンである。(pp.262-3)