• ド・ラ・メトリ『人間機械論』杉捷夫訳、岩波文庫、1932年(改版1957年)
  • 経験、観察、自然の強調。それらによって動物と人間の連続性が主張され、ときに「魂(ame)」は単なることばにすぎないとさえいわれる。哲学者よりも医師が讃えられる。

かくて経験と観察のみがこの場合われわれを導くべきものである。経験と観察とは、同時に哲学者を兼ねた医者の備忘録の中には無数に存在しているが、医者でなかった哲学者の中には存在していない。医者だけが人間の迷宮を遍歴し、解明したのであり、かれらのみがわれわれの目から多くの不思議を隠している外観の下のからくりを剥いで見せたのである。かれらのみが、われわれの霊魂〔Ame〕を静かに観察しつつ、幾度かこれを捉えたのであり、卑しい状態においても、偉大なる状態においても捉ええたのである。‥‥重ねていう、この場合発言権のあるのは生理学者〔Physiciens〕のみである。‥‥(p.47)

*1:邦訳六十頁まで