二〇〇五年九月一一日に行われ、自民党の「歴史的大勝利」に終わった衆議院選挙の分析にも、同様の若年層バッシングが発生した。この選挙において、前回に比して投票率が大幅に上がったことにかこつけて、少なからぬ論者が若年層の投票行動を問題視していた。曰く、若年層が小泉純一郎流の反対派を切り捨てる強権的な態度にエクスタシーを覚え、自分の将来も顧みずに自民党に投票したのだ、と。
 しかし得票率を見てみると、与党と野党の得票率はそれほど変わらない。にもかかわらず与党が全議席の三分の二という巨大勢力になってしまったということは、若年層の「内面」では説明できない要因――例えば小選挙区制や、公明党選挙協力など――をも見るべきだろう。(後藤和智、p.302)