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- 佐藤俊樹「コミュニケーション・システムへの探求:kをめぐる問題」
- in : 『InterCommunication』No. 57, NTT出版, 2006, pp.27-36
- 読了。わかりやすい&勉強になった。
- ハイデガーとレーヴィット:
[前の行為が後の行為を決め・後の行為が前の行為を決める、という個々の行為の同定のむずかしさ、不確定性]ここから二つのことがいえる。(1)行為(=私たちがふだん「行為」と呼ぶ何か)は原子みたいなものではない。(2)行為が何かを不確定のまま、私たちは行為できる。
(1)は注意ぶかい観察者には昔から気づかれていた。例えば、M・ウェーバーは「行為」と「行為連関」を同義的に使う。パーソンズのように行為を原子論的に捉えるのは、自明でもないし、伝統的な考え方でもない。戦前のドイツ社会学では行為連関で考えるのがあたりまえだった。M・ハイデガーの「用在性」やK・レーヴィットの「共存在(Mitsein)」もそういう文脈で捉え直す必要があるだろう。(p.30)