• アウグスティヌス「至福の生」
  • 読了。ミラノでの「回心」直後に書かれたとされる「カッシキアクム対話篇」のひとつ。
  • 議論自体は散漫というかなんだかよくわからない気もしたが、『告白』第十巻の「至福の生」をめぐる議論と比べると、焦点がちがっていておもしろかった。たとえば、『告白』であれほど頻繁に使われていた「よろこび gaudium」ということばがここでは至福の生を定義するものとしては一切使われていない。かわって、至福の生は「規範」や「享受」あるいは「三位一体」と関係づけて論じられている。

「したがって、真理によって最高の規範に到達する人はいかなる人であれ至福なのである。それは精神にとっては神を所有すること、すなわち神を享受することである」[p.204]。