• ベスト[2001→2002]『統計はこうしてウソをつく』林大訳、白揚社
  • いままで繰り返し統計を引用してきたが、以下に述べられているようなことが理解されないまま読まれるとしたら、わたしはかなしい。もちろん、もしそうであった場合、その責任のいくらかはわたしにあるのだろう。だから、書いておこうと思う。大事なことではないだろうか。

 私たちは社会問題を、重力や地震のような、人間の行動とは無関係に存在する現象と考えがちだ。しかし、そういう考えが正しくないことは、社会問題という言葉そのものが明らかにしている。社会問題は人々の行動の結果なのだ。(pp.26-7)

ある調査では、「男性からアルコールを飲まされて、望まない性交をしたことがありますか」といった質問への肯定の答えに基づいて、女子大学生のおよそ4分の1が強姦されたことがあるという結論が下された(23)。批判者はこの結論に異議を唱え、この調査の質問は曖昧だと論じ、強姦被害者とされた回答者の4分の3近くがそれを強姦とは考えていなかったと指摘した(24)。しかし、こうした例が示すように、計測結果を生みだして、それを解釈し、UFOによる誘拐や強姦の犠牲者を特定するのは、調査を行う活動家であり、回答者ではないのだ。(p.71)