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- 林田伸一「最盛期の絶対王政」、in 柴田三千雄ほか編『フランス史2:16世紀〜19世紀半ば』、山川出版社、1996年
既存の国家制度の拡充・再編とならんで、ルイ十四世の国家は新しい領域にも手をひろげた。これまでほとんど手をつけなかった、あるいは手をつける必要のなかった社会的統制の領域である。その第一は、都市、とりわけ首都パリにおける秩序維持である。パリでは、秩序維持はそれまでは、さまざまな社会集団の利害が錯綜するシャトレ裁判所とパリ市政府が競合するかたちで主として担当していたが、この時期のパリの人口の増加、社会的流動性の増加に対応するためには、合理的で一貫性のある対応とそれをになう組織が必要とされるようになっていった。一六六六年には、コルベールによって警察行政の改革を真偽する特別の諮問会議ももうけられていたが、こうした背景のもとで六七年に創設されたのが、かたちのうえではシャトレ裁判所に属しながらも実質的には国王に直属する、パリ警視総監職であった。
‥‥この警視総監職は、一六九九年には全国の主要都市にも設置されるべきことが定められた。
第二は、救貧政策である。‥‥(pp.209-10)