さて、米国と比べカウンセリングの存在自体があまり注目されていなかった日本において、なぜ急にキャリア・カウンセリングがここまで盛り上がったのでしょうか? そのきっかけは、坂口厚生労働大臣の「〔二〇〇二年〕三月までにキャリア・コンサルタントを一〇〇〇名まで増やし、来年には一万人、将来的には五万人まで増やす予定である」という発言です。
 坂口大臣は、「現在、米国には一七万人のキャリア・カウンセラーがいると言われており、彼らが雇用の流動化に一役買っている」と述べ、雇用が硬直化している日本においても転職・就職に関するキャリア・コンサルタントを育成することにより、同様のことが可能であると考えたのです。
 また大臣は、キャリア・コンサルタント自体を一つの職業にすれば、それだけで五万人の雇用を創出でき、その五万人が三〇人の面倒を見れば、一五〇万人の失業者に対してきめ細かな対応が可能であると考えています。(pp.30-1)

  • ちなみに、「キャリアコンサルティング」は「キャリアカウンセリング」の同義語。厚生労働省がなぜそう言い換えたのかははっきりしない(といわれている)。