人生と生活のドラマの主人公は自分ですから、職場ではこんなふうに役割を演じたい、家庭ではこんなふうに役割を演じたいと、誰でも、自分の姿を心に描いたシナリオを作っています。とくに念願の昇進を果たした場合、部下からは尊敬され、上司からは信頼され、家族はたのもしいお父さんを支えてくれる、といった輝かしい自分を主人公としてイメージします。
 ところが現実には思いどおりにことが運ぶとは限りません。職場でも家庭でもNGが続出しますと、自分が主人公からおろされ、疎外されているような気持ちに追い込まれます。こんなはずではなかったと焦り始めます。
 もとを正せば、シナリオ作成の段階で問題があったのです。職場では、役職や世代などによって、家庭では連れ合いや子どもの立場によって、それぞれに価値観の違いがあることをみとめていなかったのです。人生は筋書きのないドラマである、と開き直り、職場も家庭も相手のあることですから、臨機応変にシナリオを変更すればよいのです。‥‥(pp.7-8)