近年、キャリアについての議論が活発化しており、その背景には、例えば、次のような労働者、個人を巡る環境変化がある。
(1)経済のグローバル化に加え、顧客ニーズの急激な変化や商品サイクルの短縮化により企業間競争が激化し、大企業といえども、倒産のリスクを避けられず、誰しも、突然、転身を迫られたり、行き場を失う事態も生じうる。
(2)技術革新の急激な進展や経済社会のニーズの大きな変化により、労働者が長年にわたって蓄積してきた職業能力を無にされる事態も生じうる。
(3)高齢化により、職業生涯は長期化する一方、労働移動はますます活発化する等、職業生涯において、大きな変化に見舞われることを覚悟しなければならなくなった。
(4)顧客ニーズ・商品ニーズの高度化、高付加価値化や経済のサービス化等により、職業能力についても専門性や問題発見・解決能力が重視されるとともにキャリアの個別化、多様化が求められるようになった。
(5)学卒無業者、若年離職者、フリーター等が急増し、職業意識の希薄化、能力蓄積機会の欠如が将来の経済社会の担い手の喪失をもたらしかねない事態となっている。‥‥