physis という言葉は、アリストテレスだけが使っているわけではないが、アリストテレスはこの言葉を「自分自身のうちに運動の原理をもつもの」という意味で用いている(伊東 1998*1 参照)。ハイデガーは、ピュシスとは「全体性として存在するものが自分を形成しつつ支配すること」であると規定している(Heidegger 1992:38f=1998:45f*2)。人がついつい影響される風土みたいなものである。(田中智志・山名淳「序章 ルーマンの教育システム論」)(p.3)

  • 「間違い」ではないのだろうけれど、「言い当てている」ともいいがたい、微妙な説明、というか「これでよいのだろうか」というか。ささいな(違和感のみの)指摘で恐縮、と思いつつ。

*1:「自然」廣松渉ほか編『岩波哲学・思想事典』、岩波書店

*2:川原英峰・セヴァリン・ミュラー訳『形而上学の根本諸概念』、創文社