• 稲村博『若者・アパシーの時代:急増する無気力とその背景』、日本放送出版協会、1989年
  • 1989年4月出版。登校拒否の一部はアパシー(無気力症)の一部だと位置づけられる。両者の「深い関係」が語られつつも、登校拒否が病気かどうかといった問題は論じられない。アパシーこそが重大な「社会病理」だとされ、対応の必要が訴えられる。第四章「アパシー青年の未来」では「2025年の危機」――「高齢化」「国際関係」「ハイテク時代」「心の危機」などなど――が語られ、第六章「アパシーの予防」では、「若者に理想と情熱をかきたてる社会づくり」として、若者への「期待」の必要性や「自由」「主体性」が強調され、「管理」が問題視される。また、第五章「アパシーの克服」では著者の臨床医としての「四半世紀」が語られる:

アパシーの治療法は、著者が今まで手がけてきたあらゆる治療技法の中でも、多くの意味で最も難しく、また手のかかるものだといえる。(p.129)