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- ヒュー・スモール『ナイチンゲール:神話と真実』、田中京子訳、みすず書房、2003年 [bk1]
- Hugh Small, Florence Nightingale : Avenging Angel, Constable and Company Limited, London, 1998.
- 読了。読みづらかった。また、各々の指摘は参考になるが、ある程度伝記的な事実を知っていないと十分に理解するのも難しい。どちらかといえば、神話を暴く、という側面よりは、当時の国内政治の状況を詳しく描く、という側面のほうが勉強になった。
- ケトレを読むナイチンゲール:
[p.25]
- クリミア戦争、「近代ヨーロッパでもっとも不必要な戦争」(ブリッグズ):
[p.31]
- エドウィン・チャドウィック、衛生改革者。
1848年の公衆衛生法の可決によって始まった、ロンドンおよびイギリスの各都市を浄化しようというチャドウィックの運動は、1854年、ナイチンゲールがクリミアに赴任したころには、すでに時流からはずれてしまっていた。その夏、激しい議論の末、議会は1848年の公衆衛生法によって設置された最初の衛生委員会を廃止した。‥‥
チャドウィックは医学を軽蔑していた。彼は、衛生管理を技術者と法律家の問題だと考えていた。チャドウィック言うところの「衛生科学」は「工学の一部門であり、医療従事者の出番がほとんどない科学」だった(20)。当然、医学界は他の既得権益集団と組んで、公的資金をチャドウィックの主張する高額な下水道や上水道に費やすことに反対した。チャドウィックの衛生委員会が廃止されたのち、主流となった医学界が公衆衛生費を引き継ぎ、彼らのやり方で運営した。‥‥当時は人びとを法律で強制して清潔にさせるという彼の計画は横暴で実行不可能だとみられていた。1852年に首相だったダービー卿が、埋葬と上水道に関する法律制定に反対したとき、彼の述べた言葉は民衆の気分を要約している。つまり、法律によって清潔さを強制することはまったく不可能だ、と。
議会でのチャドウィックのもっとも強力な支持者はパーマストン卿だった。‥‥[pp.55-6]
- ウィリアム・ファー博士、戸籍本署統計部部長:
[pp.103-4]
- 誰の責任なのか。ファーによる調査結果の公表を躊躇するシドニー・ハーバート:
[p.135]
- 麻酔薬としてのクロロホルム:
[pp.140-1]
- hygiene/sanitation/sanitary:
[p.143]
- 『看護覚え書き』。対象は普通の女性、医師が治療するわけではない:
1860年に出版された『看護覚え書き』は最初の二ヶ月で一万五千部売れ、それ以来百四十年間、絶版になったことは一度もない。[p.207]
- アーサー・クラフによる図表。赤い線/詩(lines):「苦闘はむだだとは言わないでくれ」:
[p.227]
- アンガス・スミス、郵便制度:
[p.247]