• ギャリー・ウィルズ『アウグスティヌス』、ペンギン評伝双書、志渡岡理恵訳、岩波書店、2002年
  • 読了。良書。アウグスティヌスにおける「意志」や「愛」の重要性を指摘しながら、彼の生涯を描いた好著。序章では、通説に対する批判など刺激的な指摘もなされていて期待させるが、本文ではとくべつ斬新な主張がなされているわけでもない。行われているのは、むしろ、穏当な――ブラウンなどの先行研究を踏まえた――伝記的記述である。短い紙幅によくまとめてあるなと感心した。いちばん目についた難点は、参照箇所が不明の箇所がいくつかあるところくらい。