• ジンメル『戦争の哲学』、阿閉吉男訳、鮎書房、1933年
    • Georg Simmel, Der Krieg und die geistigen Entscheidungen. Reden und Aufsätze, Duncker & Humblot, München/Leipzig 1917.
  • 目次:
  • 著者序
  • ドイツの内的変化(Deutschlands innere Wandlung. Rede, gehalten in Strassburg, November 1914)
  • ドイツ精神の弁証法(Die Dialektik des deutschen Geistes.)
  • 文化の危機(Die Krisis der Kultur.Rede, gehalten in Wien, Januar 1916)
  • ヨーロッパの理念(Die Idee Europa.)
  • 訳註
  • 訳者跋
  • 読了。直訳すれば「戦争と精神的決断」となるジンメル晩年の講演・論文集。「決断」がどうとか「ドイツ民族」がどうとか「ヨーロッパの理念」がどうとか、字面だけとればハイデガーやシュミットを彷彿とさせるような表現が頻出するが、そこにある論理はやっぱり(?)ジンメル的な弁証法である。戦争に対する評価がどちらかといえばポジティヴなもの(「ドイツの内的変化」「文化の危機」)からネガティヴなもの(「ヨーロッパの理念」)に変わっているのには考えさせられた。とりあえずは、この独特な――とわたしは思う――ジンメル弁証法の内実をもうすこし考えてみたいと思う今日このごろ。