• 湯浅泰雄『和辻哲郎:近代日本哲学の運命』、ちくま学芸文庫、1995年(原著、ミネルヴァ書房、1981年)
  • 読了。おもしろかった&勉強になった。
  • いくつもうなずける箇所はあったが、とりわけ「一〇 和辻倫理学」で和辻の西洋哲学の摂取の巧さを指摘したり(p.347)、その批判の空虚さを指摘していたり(p.350, 356-7など)するところなどはとくにつよく共感しながら読めた。まあ、和辻の不思議さはそこにある――摂取の巧みさとその摂取したものに対する批判がどこかずれているところにある――と感じていたので当たり前といえば当たり前だが、と同時に、和辻がそうしなければならなかった理由も本書全体の議論を通じていくばくか垣間見れた気がした。
  • ただし、この本については批判もある。たとえば、米谷匡史「和辻倫理学十五年戦争期の日本――『近代の超克』の一局面」in: 『情況』(特集:日本のナショナリズムと超近代)、1992年9月号、p.127 などを参照。