「親」ネタ。

 毎日新聞社会部取材班[1998]『福祉を食う:虐待される障害者たち』、毎日新聞社

より:

 あまり知られていないが、親や兄弟が知的障害者を食い物にしているケースは多い。障害基礎年金や預金を遊興費などに使われる被害は後を絶たない。外部からはなかなか被害がわからず、「親権」が壁になって被害救済がはかどらないこともある。
 家族の絆の希薄さ、親の倫理観の欠如などを背景に、障害者が人間として生きる権利は蝕まれている。
 周囲の偏見や生活支援の不足から、障害者をかかえた家族が孤立し、子殺し、親子心中など悲惨な事件も相次いで起きている。
 「被害者の人権を最も蹂躙しているのは、親ではないか」
 知的障害者の親の会などでは、知らないうちに障害者を傷つけている親に自戒を求める意見もよく聞かれる。(pp.165-6)

  • ここでは――同じように「人権」が主張されているにもかかわらず?――障害(者)運動であからさまに提出されたいくつかのテーマが不在であることに注意することができる。たとえば「親との関係が(わたしたちの)障害を再生産する」という認識など。