• 近世における虐待:

 エラスムス[1529]『子供たちに良習と文学とを惜しみなく教えることを出生から直ちに行なう、ということについての主張』、in 中城進訳『エラスムス教育論』、二瓶社、1994年

かつて、ローマの騎士階層のアウクソンがその息子に自制することなく鞭打ちの体刑を科して、そして殺してしまいました。‥‥いかに多くのアウクソンが今日においては見られることでしょうか。彼等は、残忍な殴打で子供の健康を損ね、目を潰し、身体に治らぬ損傷を与え、そして時には殺害もするのです。‥‥法律家の記録が示すところによりますと、ある靴製造人が彼の靴製造の徒弟の頭部を靴型で打って片方の目を潰しましたが、この行為に対しては法律によって懲罰が彼に与えられました。嫌悪すべき暴行という拷問を加える人々に対して、私達はなにを言えば良いのでしょうか。(p.76)