意味もなく、虐待事例その二(とくに「書きたいこと」も見つからない):

 カルダーノ[1576]「わが人生 De propria vita」,in 清瀬卓・澤井繁男訳『カルダーノ自伝』、平凡社ライブラリー、1995年

 四歳になるとミラノに連れてこられ、母や母方の祖母、つまり母の妹である(怒ったところを見せたことがない)マルガリータに前より優しく扱われた。ただし父や母が理由もなく鞭打つ場合は別だったが。ぶたれるたびごとにわたしは死ぬほどの危機にさらされた。七歳になると(当時父と母とはいっしょに住んでいなかった)、ぶたれるのがあたりまえな場合ですら、二人は鞭打つのを控えるようになった。
 しかし悪い運命はわたしを苦しめるのをやめたのではなく、そのやり方を変えただけだった。父は家を借りて、わたしと母と叔母を呼んだ。そこで父はわたしは召使のように扱った。病弱で年端もいかないわたしは、静かな生活から仕事に明け暮れる日々へと引っぱり出された。そんなわけで八歳の初めに赤痢に罹り、熱を出した。(p.21)