ジョーンズ&ウォーレス[1992]『若者はなぜ大人になれないのか(第二版)』宮本みち子監訳、新評論、2002年

から孫引き:

もし、親は自分の子どもの性格に対して社会的責任があると見なされるならば、また子どもの行動が親の道徳的・個人的価値の尺度と見なされる場合には、子どもは巨大な力を持つようになる。子どもはその行動によって、重要な他者(significant other)から親に与えられる尊敬と、親自身のセルフイメージを決定することができる。しかしもし、そのような大きな力を子どもが持てば、その結果子どもは、親の監督の範囲を縮めるように、その力を有効に使うことができるのである。その子どもに対する他者の影響いかんや、子どもの養育に関する支配的なイデオロギーの内容はさておき、子どもの養育についての近代の仮説(すなわち親は自分たちの子どもの人格に責任がある)それ自体が、親がその責任を果たさねばならない時に、親にとって必要な子どもへの支配的地位を、実際には親から奪っている。(C.C. Harris(1983),The Family and Industrial Society.p.241)(p.129)