• コリン・バーンズほか[1999→2004]『ディスアビリティ・スタディーズ:イギリス障害学概論』、明石書店

 余暇〔leisure〕について検証する際の理論的根拠は、余暇が“生活様式〔life style〕”のますます重要な局面になるとともに、20世紀後半以降の文化と社会におけるアイデンティティと地位の象徴にもなっているという主張に求められる。「多くの人が、自分は自由だという実感や自分の力、自分の状態や願望といったものを表現しようと思うのは、消費の領域においてである。それも所得のうち自由になるお金を使って過ごす、まったくの余暇である時にこそ、自己表現しようとする」(A.Tomlinson,1990:6)のだ。かつては、ある人がどんな職業に就いているかということを、その人の社会的地位やアイデンティティの主要な源として見るのが一般的であった。しかしこの数十年の間に、以前とは対照的に、消費と生活様式のありようを強調する傾向が出てきている(Giddens,1993)。‥‥
 余暇という言葉の標準的な定義は“自由時間”であり、有給雇用における労働時間と対照的に定義される(Paker,1975;Clarke & Critcher,1985)。イギリスでは週あたりの総労働時間が、1901年の54時間から1990年代半ばの44時間へと減少傾向にあり、可処分所得は相対的に増大している。つまり、人々が余暇活動に参加する機会が増えているということだ。‥‥
 そうすると、障害者はどのような状態におかれることになるだろうか。‥‥(pp.238-9)