• 西野喜一『裁判員制度の正体』、講談社現代新書1903、講談社、2007年
  • 読了。批判的だが、どちらかといえば、裁判員制度についてあまり知らないひと向けという感じ。批判の論拠には首を傾げる点もいくつかあったし、学べることはあまり多くなかった。
  • ただ、一番ありそうだなあ、と思ったのは、この制度によって「このようにいい加減としか言いようのない審理、判断をつづけているうちに、裁判所、裁判官に、無意識のうちにも、刑事裁判はさほど緻密、厳密なものでなくてもよい、ほどほどでよいのだ、仮に誤判があっても、それは当事者のせいか裁判員のせいだ、というたるんだ雰囲気が蔓延するのではないか」という指摘である[pp.112-3]。著者とは違い、たるんだ空気が蔓延することが必ずしも悪いことだけとは思わないが、最後まで読んで、むしろ、裁判員側にも、このようなしらけた空気が広まりそうだなと感じた。