• O・ヴァイニンガー『性と性格』、竹内章訳、村松書館、1980年
    • Otto Weininger, Geschlecht und Charakter: Eine prinzipielle Untersuchung, Vienna, Leipzig 1903.(邦訳の底本は1922年の23版。)
  • 読了。邦訳は、註の大部分を省略し、「訳文は必ずしも原文に忠実とはしなかった。省略も敢えてした」(凡例)としている。
  • ジンメルについて調べていて、たまたま偶然が重なり手に取った(本文中ではジンメルも批判の槍玉にあがっている)。とくべつていねいに読むべき議論が行われているとも思わないが、念のためにウィキペディアから読めたオンライン版を確認すると、訳者の断りどおり、意訳的な箇所がいくつもあるのが気になった。原文よりも読みやすくなってはいるのだろうが、註にある出典や語の説明のほとんどが省略されていたり、原文に「(Kant)」とあるところまで落ちている、というのはやはり残念に思う。カントはヴァイニンガーの重要な立脚点ではないのだろうか。ちなみに、批判されているジンメルの議論の出典は「女性の心理学のために」(1890年)。邦訳ではとうぜんこれも省かれている。