• 和辻哲郎『人間の学としての倫理学』、岩波文庫岩波書店、2007年
  • 読了。ジンメルを追っていて、論じている事柄が重なるので、念のため(?)手にとった。
  • 意外におもしろかった。と同時に、和辻の西洋哲学に対する理解(の的確さ)と、その主張や批判のあやしさとのギャップにとまどった。西洋哲学に対する鋭い理解がありながら、どうしてこういう主張や批判がでてくるのだろうか、と思わされる箇所がいくつもある。まあ、短い本だからこれ一冊で和辻の主張がわからなくても当然だが、なにか謎をかけられた気もした。

  • W.J.モムゼン& J.オースターハメル& W.シュベントカー編『マックス・ヴェーバーとその同時代人群像』, ミネルヴァ書房, 1994年
    • W. J. Mommsen und W. Schwentker(Hrsg.), Max Weber und seine Zeitgenossen , Vandenhoeck & Ruprecht, Göttingen/Zürich, 1988.
    • W. J. Mommsen and J. Osterhammel(eds.), Max Weber and his Contemporaries, Allen & Unwin, London, 1987.
  • 目次:
  • ほぼ同時に出版されたドイツ語版と英語版の双方から「それぞれ両国語で執筆された論考を底本として採用」している。
  • W.ヘニス、D.フリスビィ、G.オークス、F.H.テンブルックのもの等を読了。フリスビィからは学べることは多くなかった。オークスはいつもながら(?)「〜〜の思想を〜〜文字以内に要約する」的な論文(ここで対象になっているのは、ヴィンデルバント、ラスク、リッカート)でその無味乾燥な文体にうなる。ヘニスの論考はクニースの議論の紹介などかなりおもしろかった&勉強になった。

 

  • ジンメル『戦争の哲学』、阿閉吉男訳、鮎書房、1933年
    • Georg Simmel, Der Krieg und die geistigen Entscheidungen. Reden und Aufsätze, Duncker & Humblot, München/Leipzig 1917.
  • 目次:
  • 著者序
  • ドイツの内的変化(Deutschlands innere Wandlung. Rede, gehalten in Strassburg, November 1914)
  • ドイツ精神の弁証法(Die Dialektik des deutschen Geistes.)
  • 文化の危機(Die Krisis der Kultur.Rede, gehalten in Wien, Januar 1916)
  • ヨーロッパの理念(Die Idee Europa.)
  • 訳註
  • 訳者跋
  • 読了。直訳すれば「戦争と精神的決断」となるジンメル晩年の講演・論文集。「決断」がどうとか「ドイツ民族」がどうとか「ヨーロッパの理念」がどうとか、字面だけとればハイデガーやシュミットを彷彿とさせるような表現が頻出するが、そこにある論理はやっぱり(?)ジンメル的な弁証法である。戦争に対する評価がどちらかといえばポジティヴなもの(「ドイツの内的変化」「文化の危機」)からネガティヴなもの(「ヨーロッパの理念」)に変わっているのには考えさせられた。とりあえずは、この独特な――とわたしは思う――ジンメル弁証法の内実をもうすこし考えてみたいと思う今日このごろ。