読了:

 ジェームズ・I・チャールトン[1998→2003]『私たちぬきで私たちのことは何も決めるな』、明石書店

ゴフマンネタ:

 障害をもつ人たちの中の違いについての考え方は、障害に関する主要な研究でも大抵いつも見落とされている。アーヴィング・ゴフマンの大きな影響力のある著書『スティグマ』もそうである。ゴフマンは、障害をもつ人に対する抑圧を非政治化しただけではなく、障害をもつ人たちを画一的に取り扱ったのである。ゴフマンの逸脱理論では、障害をもつ人たちの間の違いが認識されていないために、抑圧になぜ多種多様な形態や経験があるのか、ということが理解できないのである。簡単な問いかけをするだけで、その理論の説得性に強い疑いが生じるであろう。例えば、隠れた障害についてはどうなのか(癌は人々が噂したときだけ「烙印を押される」ものなのか)、‥‥言葉を話せない、脳性麻痺のメキシコ系移民が、シカゴの病院で、後に訴訟となった実験的な治療の後に謎の死を遂げたのはなぜなのか、ということについて、逸脱理論で理解できるであろうか。腎疾患のあるマオリ族の人が人工透析を受けることができないのはなぜなのだろうか。(pp.282-3)