読了

 遠藤雅之&田辺等[1994]『心病む人への理解:家族のための分裂病講座』、星和書店

親ネタ:

 親(家族)の基本的なあり方としては、親自身が自分たちの人生をしっかりと生きる決心をすることです。そしてなによりも、親は親の人生を楽しむことをおすすめします。たとえわが子であっても生き方、考え方の異なる独立した人格です。自分の一生は、子どものために費やす人生ではないのだ、と悟った時、親が楽になり、ひいては子どもの荷を軽くし、ともども成長することは間違いありません。親が生き生きと生きるならば本人も生き生きしてくるのです。(p.66)

その根拠;

 1976年の英国の研究ですが、その後の世界各国での研究でも確かめられています。‥‥退院した分裂病の患者さんについて厳密な研究を行ったところ、上記の結果が出ました。つまり、家族が感情的であると、その接触時間が長いほど再発が多くなりますが〔92%が再発〕、服薬でその率が下げられます〔53%再発〕。平静な家族の場合、再発はグンと減り〔15%再発〕、しかも服薬をしているなら再発は最も低くなります〔12%再発〕。
 服薬していても感情的家族の接触時間が長い場合のほうが、服薬はしていないけれども平静な家族より再発が多いことは注目すべきことです。端的に言いますと、薬の服用より家族のあり方が再発防止に重要ということになります。(pp.60-61)

  • ここでは、こうした認識が親(多くは母親)に対する「感情労働」の要求になりうることが示唆されている。