障害者生活支援システム研究会編[2003]『ノーマライゼーションと日本の「脱施設」(シリーズ障害者の自立と地域生活支援1)』、かもがわ出版

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 〔障害者生活支援システム研究会自身が行った〕二つの調査結果を通して、とりわけ注目しておきたいのは、障害児者家族の生活問題には階層性があるということです。
 「健康調査」では、たとえばブルーカラー層では「医者に診てもらっている」割合が最も低く、「仕事に出られない」「介護のために支出がかさむので経済的に苦しい」などの回答が平均値よりも高率です。‥‥また、日常的に横のつながりが乏しい場合には、精神的なストレスが高くなり身体的な疲労が増加する傾向がありますが、こうした横のつながりは高所得の人ほど豊かで低所得層ほど乏しいことなども明らかになりました。
 また、障害児者にかかわる相談相手としても、「無業者層」を除く全ての階層で「配偶者」に次いで「知人・友人」をあげていますが、「無業者層」は「障害者の親同士」が第一位で、次いで「配偶者」「福祉事務所や行政の職員」「福祉施設の職員」「子」と続き、「友人・知人」は‥‥第七位となっています。「無業者層」の多くは高齢者層であることから、高齢者が介護者となっている世帯ほど社会的に孤立していることがうかがえます。(塩見洋介)(pp.39-40)