『論理学研究2』(第二巻の三分の一)読了。

  • 実的 reell

「実的」(reell)は real とは全く別種の概念で、「志向的」に対立する意味で用いられている。そして実的内実〔内容〕とは感覚与件のことである。現象学的研究にとっては
 〔1〕感覚という意味での内容と
 〔2〕知覚の対象という意味での内容(=志向的内容)
とを区別することが重要である。‥‥(以上 L.U. Ⅱ/1,S.160f,381f,399f.参照)(立松弘孝訳『現象学の理念』訳注4-3,p.142)

現象学事典』(弘文堂,1994年)の
 レエール/イデエール
という項(p.470):

 「レエール」なものとは、フッサールでは、志向的意識的体験の成素(Bestand)、「構成要素」(Komponent,Konstituens)をいい、「実的」と訳される。‥‥ドイツ語の reell とは、本来は「現実的、実際に」(wirklich)とか、「実際に見いだされる」(wirklich vorhanden)といった意味であるが、フッサール現象学の用語としては、
 現象学的反省によってわれわれの志向的体験の内に〈実際に見出される〉成素
つまり
 その体験の内在的(immanent)な成素
をいう。(宮原 勇)

そしてそれが――『イデーンⅠ』の第41節では――
 1)感覚与件(射影の呈示機能をもつ)
 2)統握(感覚与件の(活)生化機能をもつ)=意味付与
の二つに区別される、とのこと。